NIPT担当医師

私は、高校2年で、一生治ることのない病気であると宣告されてしまいました。
その病名はファブリー病という、遺伝疾患です。

ファブリー病は指定難病で、治療費は年間3300万円かかります。3年でほぼ1億円。私はちょうど受験期でしたので、進路について考え直しました。私は両親が医師の家庭で育ちましたが、医師を目指してはいませんでした。ただ、これほど巨額の医療費をかけられ続けるのであれば、こうした病気を治すためにも遺伝子治療の開発に携わろうと考え、医学部に入る努力を始めたのです。

大学時代は、医学部の勉強以外にも、いろいろなことに取り組みました。厚生労働省の医系技官のところに話を聞きに行ったりして、医療費がどのような仕組みで分配されているのかを勉強しました。国境なき医師団に行ってみたこともあります。

大学5年生のときには、アメリカのスタンフォード大学に、3週間ほど生殖医療の研究を見に行かせてもらいました。私は、私の持っている遺伝子が継承されていくことにためらいがあり遺伝子治療の可能性について知りたく、それに貢献したかったのです。

しかしその道は遠いと感じました。

私は、遺伝子病を持っている医師として、何が出来るか考えました。

その後、医師となり「こどもたちのこどもたちのこどもたちのために」というNPO法人で遺伝子検査の開発に携わってきました。

私は自分が遺伝病を持っていて、その治療に莫大な医療費がかかっているという現実があります。ですが、生きているという現実もあります。

当院でNIPTを受けて陽性と出た方に、選択肢を押しつけるつもりはありません。

NIPTの結果が出てから、確定診断を受けるまで少し時間があります。その間、しっかりと考えて頂きたいとは思います。考えて頂くために、私たちが知っていることは全てお伝えする準備があります。当院には、必要に応じて、いつでも相談できる産婦人科のドクターも在籍しています。ご自身も2人のお子さんを持つお母さんです。妊娠・出産・子育ての苦労は経験済みです。

必要があれば、当院在籍の医師以外の専門家を紹介することも考えています。

気が済むまで情報を集め、考えて、結論を出して欲しいと思います。

NIPTの結果が陽性だった場合は、産まれた後の身体的コスト、精神的コスト、経済的コストなど、色々なことを想像し、それに耐えられるかどうか?色々なことをイメージしてしまいますよね。でもそれは、健康な子供を産む場合でも全く同じことなのです。

NIPTは、アフターフォローありきの検査です。NIPTで陽性となった場合は、その結果をもって、確定検査を受けてもらうことになります。

その時に私がおすすめしたいのは、遺伝子病についてのカウンセリングが出来る人についていて欲しいと言うことです。

例えば、ダウン症であれば、ダウン症を診てきた臨床豊富な先生を紹介するなど・・・。一人で悩みを抱えることの無いよう、環境を整えるお手伝いをさせて頂きたいと考えています。

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